がん
前立腺腫瘍と診断された患者様へ(当院で施行可能な治療法のご紹介)
前立腺腫瘍は早期であれば完全に治癒することが充分可能な病気です。前立腺腫瘍の治療法には大きく分けてホルモン治療、放射線治療、手術、無治療経過観察があります(別紙参照)。治療法の選択は患者さんの年齢や、腫瘍の悪性度、腫瘍の広がり、転移の有無PSAの値、直腸内指診、画像診断などを参考にして決定します。
どの治療を選択されるかは担当医とよくご相談下さい。他の施設へのセカンド・オピニオンを希望される場合はその旨お知らせ下さい。また、どの治療を選ばれても前立腺腫瘍は悪性疾患ですので、PSA等による治療後の経過観察(定期的な外来通院)が必要となります。
各治療法のご説明
【ホルモン(内分泌)治療】
ホルモン(内分泌)治療は男性ホルモンを抑える治療法です。前立腺腫瘍細胞は男性ホルモンに依存して増殖するため、すべての病期において適応となります。基本的には内服薬(抗アンドロゲン剤)および注射薬(LH-RHアゴニスト)、またはそれらの併用を行います。この治療は一生涯継続する必要があります。また、長期的にみるとホルモン治療が効かなくなってくる場合が多く、完治できる可能性がある場合はそのことをよく理解された上で選択して下さい。
【放射線治療(根治目的)】
放射線治療(根治目的)は前立腺腫瘍に有効な治療法の1つです。現在当院では放射線治療部と協力し、放射線外照射(リニアック)と組織内照射(ブラキセラピー)を施行しております。放射線外照射(リニアック)は週5回、計30~36回程度の体腔外照射を施行しております。腫瘍が前立腺被膜外に浸潤している場合でも治療可能ですが、内分泌療法を併用する場合もあります。
組織内照射(ブラキセラピー)に関しては主に腫瘍組織が前立腺内に留まっている患者様に施行します。基本的には3泊4日の入院により治療を完遂しますが、病期や病理結果等により上記外照射を併用する場合もあります。詳しくは別紙小冊子をご覧下さい。放射線療法の合併症には照射野に入る皮膚の炎症や膀胱および直腸などの炎症や出血などがあります。これらの有害事象は治療後早期だけでなく、治療後長期間経過してから出現するものもありますので注意が必要です。
>>前立腺小線源療法の説明はこちら
【手術(根治的前立腺全摘除術)】
手術(根治的前立腺全摘除術)は前立腺全体を摘出し尿道と膀胱を吻合するもので、早期がんに対する確立された治療法の1つです。腫瘍が前立腺外に出ていない、リンパ節転移等が無い時に行われます。特にわが国においては早期腫瘍に対する治療として最も一般的です。しかし、腫瘍の進行と平均寿命等との関係で75歳以上の患者様には一般的にはお勧めしていません。手術の問題点として尿失禁や男性機能障害があります。勃起に関わる神経を温存できる場合もありますが、必ずしも完全とは限りません。また、出血、感染、リンパ漏、直腸を含む周辺臓器の損傷(人工肛門造設の可能性)等も頻度は低いですが起こり得る合併症です。
保健適応となっている手術法には恥骨後式と会陰式、腹腔鏡下の3つのアプローチがあります。当院ではいずれの方法にも対応が可能ですが、腹腔鏡手術に関しては手術ロボットであるダビンチS・サージカルシステムを用いたロボット支援前立腺全摘除術(RALP)を施行しています。本システムは健康保険適応が未承認であるため治療費は自費診療となります。本手術は前述の手術問題点である尿失禁や男性機能障害を防止したり回復が早いという報告もあります。ご興味のある方は別紙(da Vinci S Surgical Systemによるロボット支援手術)をご覧下さい。
ダビンチによる手術所見(膀胱尿道吻合)
いずれの手術法においても利点欠点はあります。医師と充分に話し合いよく理解して納得した治療を受けられるようにしてください。 また、不明な点などありましたらお尋ね下さい。
>>ダビンチ手術へ
無治療経過観察はPSAが低く、病理検査および画像診断の結果で比較的穏和な腫瘍と考えられる方に提示します。定期的にPSAをチエックすることで癌の進行を予測し上昇傾向があれば治療に移行する方法です。詳しくは小冊子をご一読下さい。