ED
はじめに(ED)
男性における性機能不全は、長い間タブーとされ、人前で話す話ではないと思われてきました。しかし、男性ホルモンは20歳代をピークに減少することがわかっております。したがって、男性ホルモンと密接な関係にある、陰茎の勃起という現象も、男性ホルモンの減少と同時に、勃起不全(インポテンス)がおきる頻度が増えてくるのは当然です。したがって、インポテンスが加齢とともに、増加してきます。高齢化社会を迎え、この問題は、もっと重要になってくると考えられます。加えて、社会の複雑化、ストレスの増加により働き盛りの年代の人たちの勃起不全が、みられるようになって来ました。これから、各年代、とくに壮年期以後の性生活についても、もっと話し合われてもいいのでは、ないでしょうか。また、最近では、いろいろなメディアで、インポテンスだけではなく、男性の更年期障害も、取りざたされてきています。
年齢と勃起障害の頻度の関係
50歳代を迎えますと、30%程の男性に勃起不全が認められるようになり、55歳を過ぎますと急激に増加する傾向にあります。欧米でも同じような傾向にあります。しかし、30歳代でも、10%前後に認められるといわれるため、全年齢層にわたって起こりえる疾患といえます。
陰茎の勃起のメカニズム
陰茎において、勃起が始まるためには、神経、血管、心理的要因が折り重なり、相互に関与するメカニズムを必要とします。勃起はまず性的刺激や大脳からの信号を得て、陰茎に行く神経が、ペニスの静脈(陰茎海綿体)の筋肉(平滑筋)を弛緩させることにより、血管が拡張して陰茎白膜といった組織の内側に、血液を陰茎海綿体内に一杯にためることにより勃起します。したがって皆さんご存知の勃起不全(インポテンス)は大きく分けて血管や神経そして精神的に原因がある場合に起こるとされます。その原因や疾患としては加齢や糖尿病、脊髄損傷や骨盤内手術等による神経・血管の障害が原因による身体的要因と、ストレスなどの心理的要因があります。ときには内服薬の副作用のこともあります。また内分泌のバランスの崩れなどが原因となりこともあります。また男性のホルモンバランスが崩れることによって引き起こされる、更年期障害の一分症が、インポテンスを症状として現れることがあります。
なぜバイアグラが効くの?
クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)は、よく知られるようになってきました。陰茎の血管に特異的に分布している酵素を阻害をする働きがあり、血管のなかにある筋肉(平滑筋)の弛緩を持続させ、勃起を長続きさせます。良い薬なのですが、反面まだ一般的ではない理由として、病院に受診しなければ買えないことや、自費診療であり、投薬前に心電図や採決を行って、心機能、腎機能や肝機能のチェックが必要なことが、原因にあげられるのではないでしょうか。また現在心臓疾患があり、硝酸薬を内服されている方や、最近に脳梗塞を起こされた方は注意が必要です。視覚異常の副作用も報告されております。したがって、もし副作用で心配なことがあれば、いつでもご相談ください。
最近の調査では、性機能不全は、成人男性の15%以上にみられるといわれます。皆様が罹りえる可能性のある疾患の一つとして気軽に御相談いただければ、幸いです。
診断の手順
最近では、既往歴などの問診の後、シルデナフィルの有効である可能性が高い患者様には、採血、心電図検査を行い、まず5から10錠ほどシルデナフィルを試していただきます。しかし、シルデナフィルに反応のない方には、陰茎の血流異常や神経学的異常の有無を検索していきます。