- 泌尿器科領域におけるロボット支援手術
- ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術+腔内尿路変向術
- Hugo™ RAS Systemを使用したロボット支援下手術
- hinotoriTM Surgical Robot Systemを用いたロボット支援手術
泌尿器科領域におけるロボット支援手術
da Vinciサージカルシステム
日本におけるロボット支援手術のほとんどはda Vinciサージカルシステムを使用しています。da VinciサージカルシステムはIntuitive Surgical社から発売され、現在では第4世代のda Vinci Xiが発売されています。当院ではda Vinci Xiが3台の体制で手術を行っています。
da Vinciサージカルシステムはサージョンコンソール、ペイシェントカート、ビジョンカートから構成されています。
サージョンコンソール
術者が直接操作する装置です。術者は3Dハイビジョン画像を見ながら4本のロボットアームを操作し手術を行います。術者は手振れ防止機構を伴った拡大視野で手術操作を行うことができ、腹腔鏡下手術や開腹手術ではできない複雑で繊細な手術を行うことが可能です。
ペイシェントカート
直接手術を行う装置です。ペイシェントカートには4本のロボットアームがあり、カメラやロボット鉗子をロボットアームに装着し手術を行います。
ビジョンカート
da Vinciサージカルシステムの頭脳となる装置です。
カメラからの情報や術者の操作を統合しそれぞれの機械に情報を送ります。また、現在世界最高性能と定評のあるドイツのエルベ社製を装備し、極めて出血の少ない手術が可能となります。
ロボット支援手術の利点
①傷口が小さい
5ミリから12ミリの穴を作製し、そこに鉗子や内視鏡を挿入し手術を行うため傷口が小さく、美容的にも優れています。
②術後疼痛が少ない
傷口が小さいため術後の疼痛が少なく済みます。そのため、術後早期の離床が可能となります。
③術中出血量が少ない
炭酸ガスを使用した気腹圧により静脈性出血を抑えることが可能です。さらに、拡大視野と複雑な鉗子操作によって血管損傷が軽減され、出血量が少なく済みます。開腹下前立腺全摘術時は比較的術中出血量が多く、輸血をする症例が多く認めましたが、ロボット支援下前立腺全摘術ではほぼ輸血することなく手術を終えることができます。
④機能の温存と早期回復
拡大視野と複雑な鉗子操作によって前立腺全摘術時の神経温存が可能となり勃起機能の温存や術後早期の尿禁制の獲得が可能です。また、膀胱全摘術における腸管操作が愛護的に行なえ、術後の腸管機能の早期回復が可能となります。
⑤術後合併症の軽減と早期退院
傷が小さいので傷口の感染率を減少させます。また、拡大視野や繊細な手術操作によって出血量の減少や臓器の機能温存・早期回復が可能となり、術後合併症の発生率を軽減させます。術後疼痛や合併症の軽減により早期の日常生活動作が可能となり早期退院ができます。
当科における実績
da Vinciサージカルシステムの利便性と安全性によってロボット支援手術は年々増加し適応も拡大しています。泌尿器科領域においては2012年に前立腺全摘術、2016年に腎部分切除術、2018年に膀胱全摘術が保険収載されました。当科では保険収載される以前の2009年から前立腺全摘術を行い、腎部分切除術に関しては全国に先駆けて2010年より行っています。また、膀胱全摘術に関しても2011年から行っています。同時に尿路変更術を腹腔内で行う完全腔内尿路変更術(>ロボット支援腹膀胱全摘術+腔内尿路変向術へ)を全国に先駆けて行っております。当科のロボット手術は年々増加し、東海地区で最もロボット手術を行っている施設となっています。