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病気についてSICK

病気の原因は様々である。実験動物に病気を引き起こす主な原因として、
 @ 遺伝的要因(疾患モデル動物など)によるもの
 A 栄養因子(ビタミン欠乏など)によるもの
 B 環境要因(温度、湿度、騒音、明暗、換気など)によるもの
 C 微生物(最近、ウイルス、真菌、寄生虫など)によるもの
があげられる。

ノーマルフローラ(正常細菌叢)の考え

動物の腸管内には400種以上の細菌が糞便1gあたり1010〜11存在し、健康な成人、成獣動物において一定の構成を示す。これをノーマルフローラ(正常細菌叢)という。ヒトにはヒトの腸内のフローラ構成、マウスにはマウスの腸内フローラ構成がある。腸内フローラの研究は、1681年、Leevenhoefが手製の顕微鏡で糞便中の菌を観察した事に始まる。その後培養法の開発、とくに嫌気性菌培養や無菌動物の作成が腸内フローラの生態と機能の研究を発展させた。腸内フローラは宿主にとって有益にも有害にも働き、ノーマルフローラは臓器の一つと考えられるほど宿主とは極めて緊密な関係にある。


感染予防について

感染予防策は基本的に、
@ 飼育管理者や実験者などのヒトに対する予防策
A 動物実験施設の建物や飼育器材などのものに対する予防策
B 実験動物に対する予防策
C その他の予防策
に分けられる。


感染予防対策に関する基本的な考え方

1.飼育管理者および実験者
 @ 教育・訓練
 A 正確な情報収集
 B 定期的な健康診断、血清保存
 C 標準操作および感染症発生時の操作マニュアルの作製、徹底

2.動物の選択
 @ 人獣共通感染病に羅漢のおそれがある動物は使用しない。
 A 可能な限り、家畜、捕獲動物の使用は避ける。
 B 生産施設等における微生物検査の方法と成績の確認
 C 生産施設、動物保管施設等での飼育形態の確認
 D 輸送方法、時間の確認

3.動物の入手時の検収・検疫
 @ 臨床症状の観察(獣医学的知識、技術、経験による)
 A 異常動物の摘発、隔離、治療、返却、安楽死

4.入手後および実験中の動物の検査
 @ 臨床症状の観察
 A 微生物モニタリング
 B 必要に応じて病理学的検査、血液性化学検査等
 C 異常動物の摘発、隔離、治療、安楽死

5.動物の適切な飼育管理

6..飼育器材の・区域の洗浄・消毒・滅菌

7.廃棄物の適切な処理

8.ゴキブリ、ハエ等の昆虫、のねずみ等の防除


臨床症状の観察のポイント

1.望診の着眼点
 @ 元気(沈鬱、倦怠、動作の不活発、食欲不振、廃絶)
 A 栄養状態(削痩、肥満)
 B 体格(成長異常)
 C 姿勢(異常姿勢、歩行困難、起立不能)
 D 歩様(麻痺、痙攣、運動失調、跛行)
 E 呼吸の状態(呼吸困難、咳)
 F 体表の変化(貧毛、脱毛、外傷、あるいは痂皮形成などの皮毛、皮膚の異常)
 G 排泄物(眼脂、鼻汁、糞便、尿、悪露)
 H 動物の習癖

2.触診の着眼点
 @ 外部触診(脈拍の検査、皮膚、被毛、リンパ節、骨格などの体表の変化)
 A 内部触診(口腔粘膜、歯牙、舌などの口腔検査)
 B 触感(弾力感、硬固、気腫、疼痛)

3.その他
 @ 体重
 A 体温(熱型)