III. ナノテクノロジーを駆使した医学への応用研究・ナノメディシン


 難病の治療を考える場合、薬物を効率的に生体内の標的組織に到達させ、有効かつ持続的に作用させるかが大きな課題である。近年、内因性微粒子として、エクソソーム、マイクロベジクルが注目されている。エクソソームは、分泌型膜小胞とも呼ばれる、直径100nm程度の微粒子であるが、細胞内で多胞体 (multivesicular body, MVB)由来で、細胞膜から放出され、細胞間コミュニケーションに重要な役割は果たしている。微小胞の形成機構、細胞外への分泌機構は不明点が多い。我々は、ユビキチン類似の新規翻訳後修飾因子がエクソソームのMVB形成から細胞外への放出に関与していること、タンパク質の内包に重要な役割は果たすことを突き止め、精力的に解析を進めている。エクソソームは、癌、老化など多くの重要疾患に関与するため、我々の基礎医学的研究は極めて応用範囲が広い。

 外因性微粒子の医学分野の研究への応用として、抗癌剤、抗炎症剤の薬物送達系 (DDS) の開発に向けて、ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合による次世代型医学工学連携的研究を行っている。具体的には、カーボンナノチューブ (CNT) 由来の微粒子を薬物の担体として用いる薬物送達系の開発を行った。作用機序の異なる複数の抗がん剤をカーボンナノ材料に結合させ持続的に放出させる技術を開発した。担癌マウスを作製し、ナノドラッグの薬理評価を行なえる体制を整えた。ナノカーボン粒子を用いて、光照射に反応して活性酸素を発生して腫瘍細胞を死滅させる治療法(光線力学療法)と温度上昇によって腫瘍細胞を死滅させる治療法(温熱療法)を併用したがんの治療法を開発し、共同研究先の産総研と共にプレスリリースを行なった。ナノテクノロジーの医学への応用研究は、浜松医科大学、名城大学、京都大学、産総研、本学医学部等との共同研究で行っている。


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