作佐部太也
藤田医科大学
Takaya Sakusabe
Fujita Health University
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  • 組織・所属の変更: 2022/04/03

病院や医院、検診センター等の医療現場では既に多くの情報機器が使われています。それらには、先端の医学や生物学を基礎として高度な科学計算を行うものや、複雑な社会制度(健康保険、生命保険)に従って(振り回され?)繁雑な会計処理行うものがあります。勿論、そういった特化したものばかりでなく一般的なOA機器としての計算機も沢山使われています。

社会への情報ネットワークの浸透により、それらの情報機器は、単体のシステムとしての機能だけでなく、相互に通信し協調することにより医療全体を安全でかつ効率的なものにする為のシステムとしての機能も求められるようになってきました。

当研究室では、医療従事者がより効率的に医療行為を行えるようにするため、あるいは、医学研究者がより高度な研究を行う事を支援するため、医療現場でバラバラになっている情報機器を繋いで強力な情報システムを構築するために必要な情報技術の研究、具体的なシステムの開発、そして、この分野にかかわる情報ビジネスの様相の研究を行っています。

情報機器を繋いで情報システムを構築するためには何といってもネットワークの整備が必要です。ネットワークの金物の話はその専門家にお任せし、我々はネットワークのプロトコルやデータ形式等の規格の整備に重点を置いています。具体的にはレントゲン写真等の診断用の画像を通信する為の規格であるDICOM (Digital Imaging and Communications in Medicine)、血液検査等のデータや処方箋等を電子的に通信する為の規格であるHL7 (Health Level 7)、病院間での患者さんの紹介など施設間での情報交換のための規格であるMERIT-9等の規格制定を参加/支援しています。更には、これらの規格を実際に利用したソフトウェアを開発し配布することで普及に努めています。

医学は大量の情報を扱います。これは、医学が広範囲の基礎分野(生物学、物理学、化学等)の上に構築されている上、研究対象となる人間、動物、微生物、環境、社会は非常に多様で複雑だからです。よって医学研究で執筆される論文の量は他の分野を大きく上回ります。よって、論文の執筆から出版までのコストを引き下げ、かつ、論文を情報として容易に扱えるようにする必要があります。そこで、論文の執筆から出版までを効率良くサポートする仕組みの開発を行っています。

情報技術の進歩の波は医療の世界を大きく変えようとしています。「電子カルテ」と呼ばれる、ありとあらゆる情報を飲みこんだ巨大な情報システムをつくり出そうという波です。電子カルテは医師がバインダに挟まれた紙になんだか専門的でわけの分からない事を(しかもとても他人には読めそうもない文字で!)書いている「カルテ」を電子化しようというものですが、それに留まるものではありません。処方箋や血液や尿の検査値やレントゲン写真のようなデータだけでなく、遺伝子配列や遺伝的特質のような高度な情報から、看護師が患者さんから訊いた愚痴に至るまで、およそ医療の現場にある全ての情報を電子化し、蓄積し、更には、医療機関の間で交換しようというものです。この野心的な「電子カルテ」の実現には、コンピュータやネットワークといった情報を処理/蓄積/通信する技術の高速化/大容量化だけでなく、個人情報保護のための技術、法律の整備、電子カルテの開発/運用を支える産業の創生、更には医学教育の対応など社会全体にわたる改革が必要となります。現在実現されている電子カルテと呼ばれている情報システムは単に医師や病院の手間を減らすためのデータベースでしかなく、社会を支える(変える)電子カルテの開発は動き始めたばかりです。本研究室では電子カルテについて、単なる情報システムの開発という立場だけではなく様々な角度から研究しています。

DIOWave Visual Storage

医用画像(主に放射線診断画像)をネットワークを通してパソコンで容易に観察可能にするためのオープンソースソフトウェアです。

プロジェクトホーム

浜松医大の診察室で DIOWave を使って患者さんに説明をする医師。

DIOWave in a clinic

jaxmin

学術大会の論文集を作成するためのキットです。論文の執筆から印刷物の出版までを一貫して行えるソフトウェアの集合です。日本医療情報学会にて運用していました。

プロジェクトホーム

工事中

厚生労働省は「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を策定しました。これは、情報技術を活用し今後の望ましい医療を実現しようというものです。そのなかで「電子カルテ」には中心的な役割が期待されています。

当研究室においても電子カルテに関するプロジェクトに取り組んでいました。

標準的電子カルテ

厚生労働省による研究事業において、研究班に参加していました。

当研究室の分担

静岡県版電子カルテ

静岡県の開発事業において、浜松医科大学医療情報部と共同で参加しています。

浜松医科大学 医療情報部静岡県版電子カルテシステム開発プロジェクト
電子的紹介状について

学位: 工学修士(筑波大学)、医学博士(浜松医科大学)

所属: 研究支援推進本部 AI研究支援準備室(副室長)、医療科学部 医療検査学科(准教授)、法人本部 CIO オフィス

学会: 日本医療情報学会、日本透析医学会