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研究紹介Reserch

患者が受ける線量推定のためのアンケート調査

1974年よりX線撮影におけるアンケート調査を行い、患者が受ける線量を報告しています。患者が受ける線量の現状を把握し、推移を解析することで、今後の取り組みに役立つ情報の提供を行いたいと考えています。また、診断参考レベルDRLs2015が発表されてから2年が経過しようとしており、次回のDRL設定に向け研究資料の作成を行っています。

妊婦・胎児専用模型(ファントム)の開発と被曝線量低減

妊婦が CT を受ける理由に肺塞栓症の診断があり、妊娠中は血液凝固能の亢進や増大した妊娠子宮による腸骨静脈・下大静脈の圧迫などでの理由により肺塞栓症が生じやすくなっていることからも、 CT による画像診断が必要となることがあります。
しかし、今まで妊婦の放射線検査があまり 行われてこなかったため、胎児や妊婦の被曝線量を測定する専用のファントムは販売されていません。本研究は臨床画像より 妊婦の体厚を計測し、妊婦・胎児専用模型(ファントム)を開発し、胎児や妊婦が受ける被曝線量を正確に測定することを目的としており、多くの妊婦の放射線リスクを正確に評価可能で、臨床現場で放射線被曝に悩む医師、妊婦の一助となりうるものです。
本研究の詳細は情報公開文書をご確認ください。

Deformable Imaging Registration (DIR)

DIRとはCT、Cone Beam CT(CBCT)、MRIなど、様々な装置を用いて得られた画像を変形し、変形量を算出する技術です。この変形量を用いることにより、画像全体だけでなく、線量分布や臓器の輪郭を変形することもでき、変形後の画像重ね合わせを行うことが可能です。DIRはAdaptive Radio Therapy(適応放射線治療)の発展にも繋がっており、今後ますます広がりが期待される技術です。当分野では、自作のファントムを用いて変形の正確度と線量の検証を行っています。

e.g. DIRの性能評価を行う画像の一例

陽子線治療に関する研究

近年、多くの治療施設が新規に建設されており、陽子線治療は大きな広がりを見せています。まだ新しい治療法といえるものですが、世界的に見ても日本に数多くの施設があり、世界をリードしている治療法でもあります。当分野では、名古屋陽子線治療センターと協力し、新規の陽子線線量計測法、精度管理、陽子線の独立検証ソフトウェアの開発など、陽子線治療に関する多くの研究を実施しています。
直近の研究成果として、以下の論文を発表しました。
IMPTにおける線量検証に関する研究
呼吸同期陽子線治療における遅延時間の検証並びに精度管理に関する報告
スキャニング陽子線治療におけるコリメータの有用性に関する研究

e.g. 陽子線治療におけるコリメータの有用性に関する研究

3Dプリンタを用いたシンチレーション検出器の開発に関する研究

本研究では、患者個別の形状を再現したテーラーメイド型シンチレーション検出器の作成及びそれを利用した高精度な三次元線量計測の実現を目標としています。本研究では、医療への応用が進む三次元造形プリンタに適応した放射線感受性の造形素材を開発し、三次元造形機能を活かした患者個々の形状の再現、シンチレーション光を利用した三次元計測と計測を基にした治療効果予測システムを構築します。この研究の実現により、個別化医療時代に即した放射線がん治療の発展に、医学物理的視点から貢献することができると考えています。
科研費課題番号:19K17181
テーラーメイド型シンチレーション検出器の開発による三次元線量計測と治療効果予測
研究代表者・安井啓祐 (若手研究)



e.g. 作成したシンチレーション検出器を用いた電子線プロファイルの取得図